スマートテレビ 2012 5 20

書名 スマートテレビ スマートフォン、タブレットの次の戦場
著者 西田 宗千佳  アスキー新書

 携帯電話がスマートフォンになったように、
テレビがスマートテレビになれるか。
 その重要なポイントは、
テレビ本体ではなく、リモコンにあります。
 ブラウン管型のテレビと違って、
今のテレビは、コンピューターそのものと言ってよいでしょう。
 多くの人は、そのことを気づいていませんが、
今のテレビは、大量に半導体が使われ、
画像処理では、高性能なLSIが使われているところを見ると、
もはや液晶テレビは、テレビの形をしているコンピューターと言ってもよいでしょう。
 そのうち、パソコンと同じように、
このテレビのCPU(LSI)は、デュアルコアだとか、クアッドコアだとか、
処理速度は、どのくらいだとか言うようになるかもしれません。
 それほどまでにコンピューター化したテレビなのに、
依然として、テレビを操作する道具は、リモコンです。
 そういうわけで、中身がスマート化したテレビが、
スマートテレビに進化できない原因は、リモコンにあります。
 さて、スマート化したテレビをコントロールする道具は、
スマートフォンになるか、タブレットになるか、興味深いところですが、
別の手段は、ないか。
 今のスマートフォンでは、音声入力が進化していますが、
テレビの場合、テレビ自身が出す音声と視聴者の音声が混ざってしまい、
音声認識が難しいと思います。
 私は、レーザーも考えられると思っています。
パソコンのキーボードは、大きくて、持ち歩けるものではありません。
机の上でも、キーボードは、場所をとるでしょう。
 そこで、超小型のレーザー装置で、
机の上に、キーボードを投影し、
指の動きを認識する入力装置が市販されています。
これをスマート化したテレビの入力装置にできないか。
 いずれにせよ、中身はコンピューター化した液晶テレビを、
どうやってコントロールするか、それが大きな問題です。
 今、スマートフォンでは、Androidが話題になりますが、
実は、「Android PC」どころか、「Android TV」も、あり得るでしょう。
 Web化したテレビというか、「Web TV」の出現もあるでしょう。
つまり、ツイッターもSNSもテレビ画面で行うということです。
 今のテレビの画面は、巨大化したので、
画面の3分の1は、ツイッターやSNSで使い、
残りの画面で、テレビ放送を流すという使い方もあるでしょう。
 さて、スマート化したテレビをコントロールする道具は、
スマートフォンになるか、タブレットになるか、
あるいは、レーザー光が作る仮想キーボードになるか、
それとも、もっと意外な入力装置が出てくるのか、
今後の展開が楽しみでしょう。
 ところで、日本のテレビメーカーが、
なぜ、アメリカ市場で、韓国メーカーに負けたのか。
実は、意外な理由があると、この本には書いてあります。
決して価格ではありません。

テレビ敗戦、新たな出発 2012 2 5

書名 電機・最終戦争 生き残りへの選択
著者 日本経済新聞社 編集  日本経済新聞出版社

 2011年は、「テレビ敗戦の年」として記憶されるという。
確かに、日本の電機メーカーは、軒並み巨額の赤字を計上しました。
その原因は、テレビにあります。
「作っても作っても赤字」というのが、テレビ事業だったかもしれません。
 このような状況を見て、野口悠紀雄氏は、
「週刊東洋経済2012.1.21」で、このように評論します。
 パナソニックもシャープも、韓国のサムスンを意識していた。
しかし、サムスンは、量的に拡大しているだけだ。
実際、テレビ事業は、赤字である。
 日本のメーカーは、サムスンに負けたのではない。
EMS企業(電子機器の受託生産企業)に負けたのだ。
 重要なのは、液晶テレビの生産モデルが、
巨大EMSの成長で本質的に変わったことである。
 それにもかかわらず、垂直統合モデルを維持し、
量でサムスンと競ったことが、基本的な誤りである。
 サムスン電子の液晶パネル部門は、
ウォン安にもかかわらず、利益が出ていないと指摘しています。
 さて、今、全盛を極めているアップルも、
負けた時代があったのです。
アップルは、パソコンメーカーとして成功していた時代があるのです。
 しかし、ウィンドウズ95の登場で情勢が変わったのです。
アップルは、パソコンの大衆化に乗り遅れてしまったのです。
同時に、これは、マイクロソフト・インテル帝国の船出を意味していました。
しかし、この帝国にも、スマートフォンの出現で、陰りが見えています。
 私は、こう言いましょう。
負けることは、いいことだ。
新たな出発ができるからだ。
勝ち続けていれば、今のやり方を変えることができない。
 しかし、時代は、変わっていく。
そして、消費者も、いつの間にか変わっていく。
 かつて、地球では、恐竜全盛の時代がありました。
温暖な気候と豊富な食糧によって、
恐竜は、どんどん体を巨大化させ、地上の王者となりました。
 しかし、地球が寒冷化していくと、食糧が不足し、
恐竜は、地上から姿を消していったのです。
 恐竜に「地球が寒冷化したから、変わりなさい」と言っても、
それは、無理な話だったでしょう。
 しかし、企業は変わることができるのです。
環境の変化に応じて、企業は、変わることができるはずです。





































































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